リモートワークに役立つビジネスチャットとは?初の国産ビジネスチャット開拓者に聞く、リモートワークで効率的な業務の進め方
働き方改革と新型コロナウイルスの影響により、徐々にリモートワークを導入している企業も増えてきました。リモートでの業務を効率的に進めるには、従業員の意思疎通のために密なコミュニケーションを行う必要があります。
そこで今回は、世界の競合をおさえて初の国産ビジネスチャットを開拓したChatwork株式会社 代表取締役CEO 山本正喜さんに取材をして、ビジネスチャットツールを使用しながらリモートワークで効率的に業務を進める方法について伺いました。
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(2021/04/09更新)
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山本 正喜(やまもと まさき)Chatwork株式会社 代表取締役CEO
電気通信大学情報工学科卒業。大学在学中に兄と共に、EC studio(現Chatwork株式会社)を2000年に創業。以来、CTOとして多数のサービス開発に携わり、Chatworkを開発。2011年3月にクラウド型ビジネスチャット「Chatwork」の提供開始。2018年6月、当社の代表取締役CEOに就任。
リモートワークでも使えるビジネスチャットとは
山本:そうですね。コロナによってリモートワークが急激に促進していて、Chatworkも追い風になっています。
まず、リモートワークになって会議はどうするのかという課題が出てきて、最初に普及したのがzoomなどの会議ツールです。
zoom間のコミュニケーションをどうするのかについて考えると、バーチャルなオフィス空間がクラウド上にあるような使い方を実現できるChatworkなどのビジネスチャットが便利です。
密にコミュニケーションをする場合はビジネスチャットを、会議の時にはzoomを利用するという使い方をしていただけると、実際にオフィスに集合できなくてもビデオ会議の合間にコミュニケーションが生まれるので、リモートワークでビジネスチャットを利用すると生産性が上がると期待されます。
山本:コミュニケーションに関していうと、どれかひとつだけを使用すればいいというわけではありません。対面式のコミュニケーションが最も情報量が多いんですが、その代わり時間と場所を合わせなければならないためコストが高くかかります。
「相手のコンディションを把握したい」「信頼関係を築きたい」「深刻な相談がある」という場合は対面のほうが効果があり、ビデオ会議はそれに近いものがあります。場所の制約をなくしただけで、集合時間は揃えなければなりません。
電話などの音声に関していうと、場所の制約はありませんが、時間的に割り込みが入ってくるため、基本的には緊急性が高い要件に向いているのが電話でのコミュニケーションです。
緊急性が高い要件やクリエイティブな会議以外での業務のやり取りは、チャットでやるほうが時間の制約がないので業務の効率は高くなります。
報告・連絡・相談など、業務の中で8・9割締める部分はチャットでできるので、状況に合わせて対面でのコミュニケーションを取り入れていくと良いでしょう。
山本:そうですね。メールは1回か2回ぐらいでコミュニケーションが完結します。不特定多数の人とやり取りするには向いていますが、手紙の代替なのでコストがかかります。
チャットが向いているのは、特定の人や知っている人の間で2、3回以上コミュニケーションをする必要があるケースです。
なぜメールがなくならないかというと、ユーザーサポートなど不特定多数の人と1回ぐらいで完結させるような分野で必要になってくるからです。
社内でのメールのやり取りは不要な時代が来て、ユーザーサポートだけメール対応でその他の業務ではほぼ100%ビジネスチャットになるでしょう。
山本:人それぞれかと思いますが、メールの構造上、これらの定型文は省略できないんです。なぜかというと、メールは受信箱というひとつの箱の中に、知り合い・営業メール・重要な取引先・家族など様々なメールが届くので、必ず自己紹介しなければならないんです。
まずは、誰から届いたメールなのかわかるようにして、案件も記載してから本文に行かなければなりません。例えば、メールで「了解です」と来たら、どの件に対する回答なのかわからないので自己紹介文は省略できませんよね。
それに対して、チャットは自己紹介文を省いて前文の続きで書くことができるので、「了解です」と回答が来たら「上の件に関しての返答なんだな」というのがわかるという点で、コミュニケーションのオーバーヘッドがないのがチャットの効率的な理由です。
山本:そうですね。メールは手紙の代替、チャットは会話の代替になるので、会話的なものはすべてチャットで済ませるほうが業務の効率は上がってきます。
アフターコロナのリモートワーク事情
山本:コロナ収束後のリモートワーク事情については、まず感染拡大前の働き方に一度戻ると思います。なぜなら、基本的にオフィスワークのほうが生産性が高いことが多いからです。
オフィスというのは会社が働くための専用の環境なので、やはりそこで働いたほうが生産性が高いです。例えば、筋トレするときはジムに行きますよね。ジムに行くと様々な専用マシーンがあって、周囲も一生懸命トレーニングしているのが目に入ってきて「自分も頑張ろう」とモチベーションが上がります。筋力をアップさせるにはジムという施設は非常に効率的なんです。
在宅勤務は筋トレに例えると「自宅筋トレ」になりますが、自分でダンベルなどを購入して毎日ストイックに続けられる人はごくわずかだと思います。家はくつろぐために用意されている場所なので、リラックスするには一番良い空間ですが、働く環境が整っていなければアフターコロナ以降は基本的にはオフィス出社になると思います。
ただ、以前のように満員電車に乗って何がなんでも出社しなければいけないわけではなく、業務によっては対面で働いたほうが良い場合や、別の業務では人がいないところで集中したほうが良いという業務もあるので、パフォーマンスが良い場所を適宜選んで働くことになってくるでしょう。例えば、週1・2でリモートワーク、週3・4ぐらいでオフィス勤務になると想定します。
山本:今までITツールが苦手で取り入れてなかった会社でも、コロナで強制的に使うようになってきました。「ITツールは高いし難しい」と言っていた人たちが、Zoomなどのツールを使用して「コスパも良いし操作方法も難しくない。便利だし生産性も思ったより良い」と感じ、今まで毎日、満員電車で必死に出社していたのは意味があったのかと思い始めているからです。
人は効率が良いことを発見してそれに慣れると元には戻れないので、リモートワークは定着していくでしょう。
コロナ以降に就職や転職する人は、「働き方に柔軟性がある会社に就職したい」と考える傾向にあるので、離職率を下げるためにも企業側はリモートワークを週に1・2ぐらいのペースで取り入れたほうが良いです。
オフィスをなくして完全にリモートになるということはないけど、リモートと組み合わせて出勤する日もあるという社会になるでしょう。
山本:そうですね。でもそれって悪いことではないんです。横にいたら直接話しかければいいだろうと思われがちですが、実は横にいるのにチャットするメリットがあります。
人は集中しているときに話しかけられると、どうしても集中力が切れてしまいますが、チャットでの会話は相手の貴重な集中力の遮断を避けることができます。
チャットを送信しておけば、受け手は自分の作業がひと段落した時にチャットを見て処理することができます。人間の集中力は1時間ぐらいしか持たないと言われているので、相手のリズムを乱さないためにもチャットで要件を伝えるほうが良いでしょう。
このような非同期コミュニケーションは、自分で働き方を選ぶことができ、集中力の無駄が発生しないことが長所です。
山本:特にエンジニアがそうですね。エンジニアは話しかけられたり電話されるのを嫌がるんですが、その理由として集中力の問題が出てきます。
1、2時間ぐらいコード書いているとゾーンに入って生産性が上がってくるんですが、その時に話しかけられると集中力が途切れてしまうんです。再び集中してゾーンに入るまでに、1、2時間くらいかかってしまうので、特にクリエイティブな仕事はチャットのほうが効率的です。
山本:執筆や論文を書く作業もエンジニアに近いですよね。頭の中で作業内容をいっぱいにして継続的に作業していると徐々にゾーンに入ってきますが、1回その集中力が切れてしまうと、また頭に入れ直さなければならないのでチャットでの連絡のほうが生産性は上がります。
山本:業種や職種にもよると思いますが、単純作業においても一定の時間は集中したほうが効率が良いと思います。
例えば、書類作業する時も一気に作業したほうが早いですよね。作業中に会議に呼び出されたりして細切れで作業すると効率が悪くなります。基本的に作業はまとめて集中して行うことで効率が上がります。
他の人から割り込まれないというのがとても大事です。単純作業かクリエイティブかは関係なく、誰かに割り込まれずに自分が効率の良い時間を作れるというのは生産性の向上につながるんです。
キックオフといった緊急の要件、または振り返りをする場合は直接集まる必要がありますが、数多くの定例ミーティング入っていると業務が分断されて生産性は大幅に落ちていきます。
Chatworkの利便性とは
山本:Chatworkにはビデオ会議のようなツール、ビデオ/音声通話機能「Chatwork Live」があります。初期の頃からテキストだけで完結するのは良くないと考えています。
テキストはすごく効率的ですが、アナログである対面のコミュニケーションは感情交流もできます。デジタルとアナログの両立が一番効果的なんです。時間と場所を決めないといけないアナログだとコストが高くつく上に、生産性が下がってしまいます。
ただ、デジタル式を取り入れると対面のコミュニケーションが減って、冷たい会社になるんじゃないかと心配される方もいますが、逆に全部アナログのほうが非効率だし膨大なコストがかかるので生産的じゃないですよね。チャットで手軽に業務の伝達することで、クリエイティブな時間に集中することができます。
山本:そうですね。よくあるのが、週一で定例ミーティングが開催され、集まったは良いけどあんまり議題がなくて5分ぐらいで終わり、でもせっかく集まったから残りの時間を雑談するという無駄な時間が生まれることがあります。
チャットやビデオ会議だと、そういった無駄な時間をなくすことが可能になります。また、ビデオ会議の良いところは、すぐ解散できる点と移動する時間も省ける点にあります。会議に参加していると仕事をした感じが出ますが、実は時間を無駄にしていて非効率的なんです。
リモートワークにおすすめのツール
山本:オンラインホワイトボード「Miro(ミロ)」は社内で流行していますね。
山本:主にプロダクトですね。エンジニアとかデザイナーとかが利用しています。あとは、社内のワークショップやディスカッションの時に、エンジニアがアーキテクチャー(構造)を議論する時とかに頻繁に利用しています。
「Miro(ミロ)」は組織図など細かい部分も書けたり大勢で編集できたりするので便利です。フローチャートをきれいに描けるしキャンパスが広くて描きやすいので、Google Sky(グーグルスカイ)で作業するよりは利便性が高いですよ。
弊社は社員数が176名(2021年3月末日時点)おり、新しいツールを入れるのが大変なので、今のところ「Miro(ミロ)」の他には利用していません。
山本:そうですね。弊社ではGoogleワークスペース、Chatworkなど一般的なツールを使っています。リモートワークだとマニアックなものより一般的なツールを使ったほうが良いかもしれませんね。
山本:アフターコロナで今までのオフィス出勤という日常は戻りますが、根本的な時代の変化が起こっています。それに伴ってDX(デジタルトランスフォーメーション)が大きく進んでいくので、リモートワークを部分的に取り入れる必要性はあります。変わらなくても良いけど、部分的に変わらざるをえない状況になるでしょう。
リモートワークを取り入れないと優秀な人材を獲得できなかったり、従業員の離職が進んだりします。早ければ早いほど差がつくので、リモートワークを取り入れたほうが良いでしょう。弊社のビジネスチャットはリーズナブルなので、利用していただければ嬉しいです。
まとめ
コロナ禍で多くの会社が徐々に受け入れつつあるリモートワークですが、アフターコロナでもオフィスとリモートワークの両方を取り入れることで、優秀な人材を確保できるだけでなく離職率も下げることができます。
従業員が同じ目標に向かってチームとして業務を進めるためには、対面でのコミュニケーション、ビデオ会議、そしてビジネスチャットを臨機応変に利用していくことでさらなる業務の効率化を目指すことができます。
ビジネスチャットChatworkを導入して、無駄のないコミュニケーションを活かして業務の効率化を目指してみてはいかがでしょうか。
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(取材協力:Chatwork株式会社/代表取締役CEO 山本正喜)
(編集:創業手帳編集部)