業務や社内コミュニケーションを円滑にする社内ポータルサイトの機能や作成の勘所について具体的に解説
社内情報の確認や取り扱いに時間を取られていませんか?
就労規則や社内設備のマニュアル、従業員の連絡先など、さまざまな社内情報の確認が必要な場合、情報へのアクセスを効率化する社内ポータルサイト(以下社内ポータル)は非常に便利です。
企業規模が大きくなるにつれて複雑かつ管理に手間が必要となってくるため、早めにに準備しておくことをお勧めします。社内ポータルは作成ツールも増えており、コツがわかっていれば作成や改修にそこまで時間はかかりません。
業務効率アップにつながる社内ポータルの利用方法や活用の仕方を解説していきます。
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Contents
社内ポータルサイトで情報の整理整頓を!
社内ポータルとは、社内規程やマニュアル類、業務用サービスへのリンクなどを掲載したサイトのことです。社内で散らばりがちな情報を集約し、1箇所からアクセスすることで情報の利用や管理を効率的にする効果が期待できます。
業務効率化や社内問い合わせの削減、従業員のコミュニケーションの活性化などを期待できるのが社内ポータル利用の主なメリットです。
グループウェアにも同様の機能を提供するものが多いですが、グループウェアのサービスが使いにくい場合や、グループウェアを使わずに複数の業務用サービスを利用している場合などは自作した方が使いやすくなります。
自作用の便利ツールも増えており、システム開発やWeb制作の知識がない場合でも社内ポータルの開発を行うことは可能です。
便利に利用するために必要な社内ポータルサイトの主な機能
それでは、社内ポータルにはどのような機能(情報)があるとよいのでしょうか。利用されることの多い機能を見てみましょう。
社内規程
会社の定款や取締役会規程、組織規程、稟議規程、就業規則や各種の休業規程などの規程は社内ポータルサイトで管理すると便利です。規程の中には法令により従業員が確認できる場所に掲示しておくことが求められるものも多く、社内ポータルで常時アクセス可能な状態にしておくとよいでしょう。
上場を目指す企業の場合、文書化すべき社内規程がどんどん増えますので、早めに社内ポータルを整備しておく必要があります。
マニュアル類
業務用のマニュアルや、社内のさまざまな設備の使用方法、FAQ(よくある質問)などをまとめておくと業務で役立ちます。特に社内のIT関連のマニュアルや、経費申請、残業申請、法務チェックなどの手順はマニュアルにまとめておくと従業員からの質問も減り、工数削減に役立ちます。
社内報
社内報はメールなどで送付すると読み飛ばされてしまいがちですが、社内ポータルに載せることで余裕ができた時にアクセスでき確認しやすくなります。社内のさまざまな活動や全社的な方針を伝えるために利用され、近年は社内報に動画も利用されることも増えています。
全社スケジュール
全社で行う朝礼や全社行事、長期休暇、会社の記念日などは、社内ポータルから全社スケジュールとして共有しておくと確認しやすくなります。SFA(営業支援システム)や業務用のスケジューラーと連携できるとさらに便利です。
ワークフロー
稟議申請や契約書のチェック申請など、ワークフローもポータルサイト上から行えるようにしておくと使いやすいです。
業務用サービスへのリンク
会社ではファイルサーバーやチャットツール、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)など、さまざまな業務用サービスを使用しているものです。こうしたサービスへのアクセス用リンクを社内ポータルから提供しておくと、必要な時に使いやすく、また社内ポータルの利用頻度も向上して他の情報も見てもらいやすくなります。
コミュニケーション
社内の組織図や連絡表などの連絡を取るために必要な情報や、社内サークル用の掲示板など、コミュニケーションのための情報も掲載しておくと便利です。社内のコミュニケーションが促されると、仕事中も自然と活気が出てきます。
社内ポータルサイトの作成手順
社内ポータルを作成する場合、次のようなプロセスで作っていきます。小規模なものであればそれほど時間はかかりません。1週間でベースが作成できる場合もあります。
ヒアリング・要件定義
社内ポータルに掲載する情報や、期待される機能、主に利用を希望する端末などについてさまざまな関係者にヒアリングしてまとめます。
構造設計
ヒアリングの内容をもとにサイトの構造を設計し、画面遷移などもイメージします。また、アクセス権設定やページの公開非公開の設定権限など、管理者側の機能として実装すべき部分も検討します。
画面デザイン
画面のデザインを考えます。利用しやすいよう、情報の配置やボタンの押しやすさ、配色などに注意しましょう。
サイト作成
業者に依頼したりサイト作成用のツール(後述)を利用したりして社内ポータルサイトを作成します。
(データ移行)
すでに稼働している社内ポータルがある場合、掲載データを移行できる場合も多いです。この場合、全部を移行するのではなく、移行するデータと削除してよいデータは分けておくと移行の難易度が下がります。移行ができたら、必ず目視で問題がないことを確認しましょう。新規作成の場合はこのプロセスは不要です。
テスト
ポータルサイトの形が整ったら、テストを行います。テストでは、情報が正しく掲載されていることはもちろん、使い勝手や、情報のアクセス権、管理者側のコントロール機能の確認なども行います。
スモールリリース
テストが無事終わったら、全社で運用する前に一部の部署に限定して運用を始めることをおすすめします。スモールリリースにするのは、サーバーやサービスの負荷チェックや、ユーザーの操作感の確認、掲載する情報量が少なくて済むといった理由からです。ユーザーから感想を拾いつつ、全社公開に向けて情報を拡充していきます。
全社公開・更新
スモールリリースで問題がなければ、社内ポータルを全社に公開して利用してもらいます。最初は慣れない人もいますので、相談窓口を設けるなどサポートをしっかり行いましょう。また、情報の更新はユーザーの信頼や利用頻度に関わるため、常に最新の情報が掲載されている状態を作るようにしましょう。
社内ポータルサイト作成時に大事な5つのポイント
社内ポータルサイトを作る際、どのような点に気をつけるとよいのでしょうか。特に大事なポイントについて解説します。
重要なのは情報量よりもデザイン
せっかく社内ポータルサイトを作っても、なかなか使われない場合にはデザイン上の問題があることも多いです。総務担当者やIT担当者が頑張って作った場合、文字情報ばかりになっていたり、文字が小さかったり行間が狭かったりと視認性が悪いことも少なくありません。デザイナーに協力してもらい、使いやすく、使いたくなるデザインを目指しましょう。
掲載するべき情報は明確にしておく
社内ポータルが活発に動いていない企業では、掲載すべき情報が決まっておらず、各部署の担当者が「これは掲載してもいいのかな?」と悩んでしまうケースが多く見られます。掲載すべき情報についての基準を示しておくことや、悩んだ場合の相談窓口などを作っておくと担当者が使いやすくなります。
ポータルサイトを複数存在させない
規模の大きな会社になると、部署やチームごとにポータルサイトを作っている場合があります。このような場合、より業務に近い部署ポータルサイトの利用が優先されてしまい、全社的な情報が届かなくなったり、全社サービス・情報に関する問い合わせが減らなかったりすることもあるので注意しましょう。
情報更新をきちんと行う
社内ポータルではいつも最新の情報が掲載されていることが大切です。古い情報がそのまま掲載されている場合、ユーザーの信頼を損ねてしまい、利用されなくなってしまいます。また、社内ポータルの運営や更新がしっかり行われていることを示すために、最新の更新情報を上部に表示するなど、わかりやすくなるよう工夫しましょう。
セキュリティの設計をしっかり行う
社内ポータルで難しいのがセキュリティの設計です。社内ポータルでは主に「社外関係者のアクセスを防ぐ」「社内の従業員のアクセス権限を適切に管理する」の2点をしっかり検討する必要があります。
社外の人のアクセスを防ぐため、社員のみがアクセスできるプライベートクラウドや、社内ネットワーク内に社内ポータルサイトを設置するようにします。この時、認証が手間になると利用しにくくなるため、シングルサインオンを利用できることが望ましいです。
従業員のアクセス権の管理は特に神経を払うべき部分です。掲載する情報の種類によって、必要になるアクセス権の種類は異なります。情報漏えいを防ぐためにも、コピーやダウンロードの権限は必要最小限の範囲に制限しておくことが大切です。
社内ポータルサイト作成に便利なツール、サービス
以下、社内ポータルサイトの作成に便利なツール・サービスを紹介します。
Googleサイト
<費用>
無料
<メリット>
・HTMLの知識が要らない
・Googleサービスとの連携がスムーズ
・レスポンシブ対応
<URL>
http://sites.google.com/new
Googleサイトは、Googleが無料で提供しているWebサイト作成サービスです。Googleのサービスとの相性がよく、業務用カレンダーの作成や地図検索可能な住所録などさまざまな利用方法が可能です。
2020年から同名の新サービスに移行しており、従来より管理者機能やデザインが強化されています。Google Workspaceを利用している場合は高度なアクセス権設定も簡単に行うことができます。
<費用>
プラン名 | 価格(税抜) | 備考 |
---|---|---|
プラン1 | 6,480円/年・1ユーザー | 1TBまで。機能制限版 |
プラン2 | 13,080円/年・1ユーザー | 1TB以上に拡張可能 |
<メリット>
・HTMLの知識が要らない
・Microsoftのツールとの連携がスムーズ
・アンケートやワークフローも利用可能
・各種ファイルをブラウザから表示可能な形式に自動変換
・写真や動画の検索が可能
<URL>
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/sharepoint/collaboration
Microsoftが提供するSharePointは、オンラインで利用可能なコラボレーション用ツールです。非常に高機能な情報共有ツールで、各種のOfficeサービスとの連携や資料検索機能を提供します。
ユーザー数に応じての課金で組織規模によって費用が大きく変わりますが、社内ポータルの枠を超え、高機能なイントラネット(社内限定のインターネット)を実現できる魅力的なサービスです。
Kintone
<費用>
プラン名 | 価格(税抜) | 備考 |
---|---|---|
ライトコース | 9,170円/年・1ユーザー | 200アプリまで |
スタンダードコース | 17,640円/年・1ユーザー | 1000アプリまで |
<メリット>
・社内ポータルの他さまざまなアプリを作成可能
・業務アプリに求められる機能が事前に準備されている
・プログラミング、デザインの知識がなくとも質の高いデザインが可能
・アクセス権設定、レスポンシブ対応も簡単
<URL>
https://kintone.cybozu.co.jp/
サイボウズが提供するアプリ作成ツールKintoneは、社内ポータルの作成にも利用可能です。社内ポータルを作って情報提供を行ったり、Kintoneで作成したその他の業務用アプリへの入り口としても利用できます。
プログラミングやデザインの知識がなくとも見栄えがよく使いやすいデザインの画面を実装できる他、アクセス権管理やレスポンシブ対応なども簡単です。
WordPress
<費用>
無料
<メリット>
・HTMLの知識がそれほど必要ない
・プラグインを使って機能を拡張できる
・レスポンシブ対応のデザインも可能
<URL>
https://ja.wordpress.org/
WordPressは、さまざまな種類のサイト作成に使われている無料のCMSです。世界中の技術者やデザイナーが日々新しい機能の開発やデザインテーマの作成に取り組んでいるため、無料ながらも非常に高い品質を誇ります。ある程度Web制作の知識のある人がいれば、デザインや機能にこだわった社内ポータルの作成が可能です。
WordPressで社内ポータルを作成する場合は、セキュリティの知識が必要になりますので注意しましょう。また、プラグインを利用する場合、バージョンの更新により不具合が生じることがあるため注意が必要です。
サービス目線で社内ポータルサイトを作成して業務に活かそう
社内ポータルは社内のさまざまな情報へのアクセスを容易にし、業務やコミュニケーションの効率を高める効果があります。社内ポータル作成に便利なツールやサービスも多くなっているため、うまく活用して業務に活かすとよいでしょう。
社内ポータルは使われてこそ価値が出るため、利用者の目線からサービス内容や使い勝手を検討することが大切です。サービスを提供する立場でデザインや使い勝手を検討し、活発に情報が更新されるような仕組み作りにも力を入れるようにしましょう。
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