無料アプリの活用でPDFの幅はぐんと広がる!PDFファイルの本来の意味や機能、活用方法に至るまでITツールマスターが徹底解説
PDFファイルを知らない人は少ないかもしれませんが、その活用方法やメリットを詳しく知る人は少ないのではないでしょうか。
ペーパーレス化により、多くのビジネスシーンで目にすることの増えた「PDF」。
日頃何気なく使っているという方に、更なる業務改善につながるPDFの活用方法や優れた機能を紹介します。
ペーパーレスや業務効率化のアイデアとしてぜひ参考にしてください。
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Contents
とにかく相互性が高いPDF4つの特徴
PDFとは” Portable Document Format”の略で、「携帯可能な書類フォーマット」といった意味です。PDFを開発したのはソフトウェア会社で有名な米国のアドビシステムズで、2008年に国際標準化機構(ISO)によってISO 32000-1として標準化されています。
電子データは対応したソフトウェアでなければ見ることができないケースが多いですが、PDFデータであれば無料配布されているビューアから確認することが可能です。
・複雑なデータも共有できる!「PDF」は電子データの汎用的管理フォーマット
現在、PDFはさまざまな電子データを一括管理するためのフォーマットとなっています。これはどういうことかというと、PDFではさまざまなデータを内部に格納して保存することができるということです。
文字はもちろん、写真や動画、音声、リンク、フォントなどもデータとして同じファイルに保存することができる仕様になっています。建築や設計などで利用されるCADファイルも、PDFに保存して見ることが可能です。また、PDFファイルに添付ファイルをつけることもできます。
・文字化けしない!閲覧環境に品質が左右されないPDF
PDFにはさまざまなデータを格納することができ、かつそれを自在に持ち運ぶことができます。対応したフォントが入っていないパソコンでは、資料のレイアウトが崩れたり文字化けが発生することがありますが、PDFであればフォント情報もファイル内に含まれているため、外出先でもファイルは同じ品質であることが保証されます。
・正式書類にも利用できる!セキュリティ効果が高いPDF
PDFは取引用の書類でもよく利用されますが、それは他の一般的なオフィスソフトのファイル形式よりも多くのセキュリティ機能を有するからです。
専用のソフトがなければ編集ができないことはよく知られていますが、それだけではなく、ファイルを保護するためのパスワードや、改ざんを防ぐためのタイムスタンプ、著作権を保護するためのウォーターマークなどさまざまなデータを含めることができます。電子印鑑(※)の利用も可能ですので、電子取引の契約書としても利用できます。
※電子印鑑:印影をデータ化したもの。印影に使用者の識別情報を含めることで電子署名法第2条の要件を満たし、契約における法的効力を発揮できる。
・コスト不要!仕様が無料公開されているPDF
PDFは無料でビューアが提供されているだけでなく、PDF化したファイルを出力できるオフィスソフトやPDFを利用したソリューションが数多くあります。これは、PDFの仕様が無料で公開されており、商用利用なども認められているからです。
参考:アドビシステムズ PDFテクノロジーセンター
https://www.adobe.com/jp/devnet/pdf.html
え?そんな使い方ができるの??PDF6つの活用法
PDFがどのような場面で、どのように利用できるのか見てみましょう。「実はこういう使い方もできたのか!」と驚くような使い方もあるかもしれません。
1.印刷物の管理・保存
PDFの主な使い方のひとつは、印刷用のファイルや原本の保管です。出版物などの印刷用ファイルでは、色やフォント、レイアウトなどの情報が環境によって崩れることがあるため、専用ソフトまたはPDFでの受け渡しが行なわれています。
また、契約書や請求書などの保存が必要な書類については、タイムスタンプをつけて保存するのが一般的です。
2.外部への書類提出
PDFは社外に配布する提案書などの書類フォーマットとしても利用されます。書き換えができないようにロックすることが可能なPDFは、書類の情報を守り、正確な取引が行なわれることを助けます。
大事な書類にはパスワードをかけることもできるため、セキュリティ要件の厳しい場合でも大丈夫です。
3.プレゼンテーション
商談やセミナーなどのプレゼンテーションでもPDFは利用可能です。プレゼンテーションソフトとしてはマイクロソフト社のPowerPointが有名ですが、プレゼンで利用するパソコンに対応するフォントがない場合や、画面の比率が合わない場合にレイアウトが崩れてしまうことがあります。
PDFであれば環境を問わず、プレゼンテーション用の資料を再現できるため、自分のパソコン以外でプレゼンテーションをしなければならない場面で重宝します。ちなみに、パワーポイントで作成したファイルをPDF化した場合、アニメーションの引き継ぎも可能です。
4.複数資料の統合
PDFの利点は、PDF作成・編集ソフトを利用することで複数の資料を簡単に統合できることです。例を挙げるなら、Wordで作った資料とExcelで作った資料とPowerPointで作った資料を1つのファイルにまとめることが可能です。
提案資料などを作る際に、既存の資料をそのままPDF化してまとめることができるので効率的な資料作成ができます。会議では、資料が複数のファイルに分かれると参照しにくくなりますが、参加者の資料をひとつのPDFにまとめてしまえば会議中の閲覧も容易で、議事録やアジェンダの代わりとすることもできるでしょう。
5.共同編集
PDF作成ソフトによっては、クラウド上で共同編集ができるものもあります。PDFファイルのリンクを共有し、コメントをつけてもらったり、議論をしたり、承認のためのワークフロー代わりにも利用できます。
特にアドビが提供しているAcrobatDCでは、PDFに埋め込まれているものなら何にでもコメントをすることができ、動画ではタイムライン上でコメントを入れられ、自動的にタイムスタンプがつくため対象の部分を探しやすくなります(下記動画参照)。特にクリエイティブ分野で重宝する機能です。
参考動画:アスキー 「目からウロコのPDF使いこなし術」
6.OCR利用
PDFアプリの中には、OCR機能(画像のテキスト化機能)を備えたものも増えてきています。OCRを利用すると、PDFデータの画像からテキストデータを抽出できます。資料作成のために政府資料などからデータを抜粋したい場合やなどに便利です。
また、社内のさまざまな書類をスキャンして電子化する場合、OCR機能を使うとただの画像データではなく検索可能なデータとして保存できます。
PDFを使ってペーパーレス化を推進するためのポイント
現在、SDGsへの取り組みやオフィスの省スペース化、テレワーク対応などの目的でペーパーレス化を推進している企業が増えています。ペーパーレス化にあたり、PDFの活用は欠かせません。PDFを活用したペーパーレス化のポイントについて紹介します。
法令をしっかり確認する
ペーパーレス化を進める場合、まずはしっかり法令を確認する必要があります。書類の中には、電子データによる保管が認められているものと、紙の書類での保管が必須になっているものがあります。
両者の分類は非常に複雑です。電子帳簿保存法や電子署名法、e文書法などの法律に加え、宅地建物取引業法や人材派遣法などの業界に特化された法律も確認が必要です。
できるだけ専用スキャナを利用する
書類のPDF化を行なうためには、スキャナやカメラなどの「撮影用デバイス」と「PDF化アプリ」の2種類が必要です。スキャナやスマホ用のアプリであれば、この両方を備えているため別々に準備をする必要はありません。
しかし、OCRの精度は撮影用デバイスの画質やアプリの性能によって違ってきます。また、書類がまっすぐの場合と傾いている場合でも精度が変わるため、できるだけ専用のスキャナを利用した方がよいでしょう。専用スキャナなら書類の角度を揃えることができ解像度も高いため、OCRによる処理の精度も高まります。
自社で難しい場合は代行サービスを利用
すでに書類の量が膨大で、とても自社のリソースではペーパーレス化を進めることができないという場合は代行サービスを利用するのも手です。
代行サービスでは、書類のスキャンやOCR化、分類なども行なってくれます。専門業者は精度の高い機器で作業してくれるため、後々のデータの利活用もしやすくなるのもメリットです。
PDF作成・管理用ソフト・サービス6選
PDFの閲覧は無料のビューアでも可能ですし、一部のソフトではファイルをPDF化する機能が付属しています。
さらにPDFの編集や統合といった多くの機能が付随した専用ソフトを利用すれば、PDFを活用する上で非常に便利です。
以下、おすすめのPDF作成・管理用ソフト、サービスを紹介します。
Adobe Acrobat
<価格>
プラン | 価格(月額・税込) | 備考 |
---|---|---|
Acrobat Standard DC | 1518円 | 個人用プラン。一部機能制限 |
Acrobat Pro DC | 1738円 | 個人用プラン |
Acrobat DCグループ版 | 2068円 | 少人数用プラン。管理者機能つき |
Acrobat DCエンタープライズ版 | 要問い合わせ | グループ版の拡大プラン |
<主な機能>
PDF作成、変換、圧縮、編集、共有、署名、結合、分割、OCR、フォーム作成、文書保護機能など
<URL>
https://acrobat.adobe.com/jp/ja/acrobat.html
「Adobe Acrobat」はPDFの生みの親であるアドビシステムズのPDF作成・管理用ソフトで、ビジネス利用においてはスタンダードといってもいいサービスです。さまざまなファイル形式とPDFの変換が可能で、編集や統合、共有なども自由にできます。
閲覧用の見出し作成や、パスワードの設定、ウォーターマーク、タイムスタンプなどビジネスで便利な機能を数多く備えているクオリティの高いソフトです。
CubePDFシリーズ
<価格>
無料
<主な機能>
PDF作成、変換、編集、結合、分割、添付ファイル編集など
<URL>
https://www.cube-soft.jp/cubepdf/?lang=ja
「CubePDFシリーズ」はフリーのPDF作成・編集ソフトとして人気の高いソフトです。国内のソフトウェア開発会社キューブソフトの制作です。同種の海外製品ではPDF化の際に文字化けが生じることも多いですが、こちらは日本語の文字化けがほとんどないため安心して使えます。
編集や分割など、用途に合わせてシリーズ内のソフトを使い分ける必要がありますが、それぞれ無料で使えることは大きなメリットです。
いきなりPDF
<価格>
ソフト | 価格(税込) | 備考 |
---|---|---|
COMPLETE | 9878円 | 全機能利用可能 |
STANDARD | 3938円 | 直接編集、電子署名は不可 |
BASIC | 2948円 | PDFからの他形式への変換不可 |
※価格はいずれもダウンロード版
<主な機能>
PDF作成、変換、編集、結合、分割、署名、保護など
<URL>
https://www.sourcenext.com/product/pdf/
「いきなりPDF」は高品質・低価格なソフトを提供することで有名なソースネクストのPDF作成・管理用ソフトです。PDFを活用して業務を行なうならSTANDARD以上、法務など重要な書類を扱う場合はCOMPLETEが必須になるでしょう。
買い切りのソフトで追加の費用が発生しないことや、どのランクでもセキュリティ機能が実装されていること、公式のサポートがしっかりしていて安心できることなどがメリットです。
瞬間PDF 統合版
<価格>
ソフト | 価格(税込) | 備考 |
---|---|---|
瞬簡PDF 統合版 12 | 16280円 | ダウンロード版 |
ボリュームライセンス | 81400円 | 10ライセンス |
<主な機能>
PDF作成、変換、編集、結合、分割、書き込み、OCR、保護など
<URL>
https://www.antenna.co.jp/pds/
「瞬間PDF 統合版」は、国内のソフトメーカーであるアンテナハウス株式会社のパッケージソフトです。ビジネスでPDFに期待される機能を備えた複数のソフトを統合して提供しており、さまざまなニーズに応えることができます。
「自動書き込み機能」というユニークな機能があり、OCRで読み取った情報と登録されている情報からソフトによる自動入力を行なうことができます。請求書や伝票類、役所などへの提出書類など、定型フォーマットの場合には名前や住所、電話番号などの項目を自動的に入力させることができるため便利です。
EasePDF
<価格>
無料
<主な機能>
PDF変換、編集、結合、分割、圧縮、書き込み、HTML化など
<URL>
https://www.easepdf.com/
EasePDFは、ブラウザから利用できるPDF変換サービスです。外国のサービスで英語表示なので多少使いにくい部分はありますが、無料でソフトのダウンロードなしに多くの機能を利用できます。
特に便利なのがPDFをHTML化できる機能で、PDF資料をもとにWebサイトを制作したい場合などに有効です。
HiPDF
<価格>
無料
<主な機能>
PDF変換、編集、結合、分割、圧縮、保護など
<URL>
https://www.hipdf.com/jp/
「HiPDF」もブラウザから利用できるPDF変換サービスです。こちらもEasePDF同様に海外企業のサービスですが、サイトが日本語にも対応しているため多少使いやすくなっています。有料サービスも提供されており、OCRや開発用APIの提供も行なっているのが特徴です。
PDFを活用してペーパーレス化や業務効率化を進めよう
PDFはさまざまなファイルやデータを一括で管理できるフォーマットで、情報を正確に保存・共有できるようになっています。
また、PDFを更に効率よく利用するためのアプリやサービスは非常に高機能化してきています。外部との書類のやりとりのために何となくPDFを利用していた場合は、今一度見直してみることをお勧めします。
PDFの特性や専用アプリ・サービスを活用して、ペーパーレス化や業務効率化など、攻めの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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