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RPAで自動化すれば簡単に終わる仕事、いつまで今のままの方法でやりますか?
日常業務の作業効率化のため、昭和な会社にRPAを取り入れようと奮闘してきた「あーちゃん@昭和企業でRPA」氏。RPAとはDX(デジタルトランスフォーメーション)のひとつで、ロボットによる作業の自動化をしてくれるものです。前半では、古い体質の会社の特徴、PRAでできることやメリットについてお聞きしました。後半では、RPAが得意な仕事と不得意な仕事、具体的なツールや会社への取り入れ方について解説していただきます。
会社へのRPAの導入の方法
RPAの導入に際してのハードルとは?
大久保:RPAの導入での会社のハードルはなんですか? 社内の通し方のコツはありますか?
あーちゃん:そうですね。やはり経営者の理解や、ある程度RPAや自動化に前向きな人がいないと難しい部分はあります。
RPAは魔法の杖でも、悪魔の武器でもないので、経営者自らRPAをさわり、便利さや難しさを理解しようとして欲しいですね。新聞に掲載されている成功事例だけみていると、ものすごい効率改善がすぐ出来るという誤解をしがちです。実際にRPAソフトを触り、雰囲気だけでも感じてもらえると、自社にあった身の丈の意思決定がしやすくなるでしょう。
また「作業を効率化したい」「単純作業を機械にまかせて人間にしかできない作業に時間をかけたい」という、ぶれない大義を持つことが、社内での通し方でいうと一番大切かもしれません。
2019年はRPAに注目が集まり、パワーワードだったので、いいタイミングだと社内のデジタル化にも取り組めましたが、、担当者や上司を説得して、業務フローを紐解き、紙を電子化して、RPAを制作して・・・とかなり大変でした。
なぜ新聞のように即効果がでないのだ!と責められることも多く、そのたびに「RPA導入の目的は工数削減だけではない。人が単純作業から解放されることで、より付加価値の高い業務へのシフトが真の目的」と訴えてきました。
バズった分、その後の幻滅期(熱狂が冷めて期待が一気に幻滅に変わる)も経験しましたが、取り組んでいる当事者としては”ぶれない大義”に向かって淡々と取り組むのみ!と自分に言い聞かせてやっていましたね。
そもそもやりたいことは本当にRPAで実現できる?
大久保:会社としてRPA導入の準備ではまず何をするべきですか?
あーちゃん:まず根本的に「本当にRPA導入でいいのか」をよく議論していただきたいです。RPAは業務がデジタル化されていないと、導入しても使えるところがない、ということになってしまいます。
またExcelマクロなど、自動化ツールは他にもたくさんあります。RPA等で自動化したい業務に目星をつけた上で、複数ベンダーの意見や、すでに導入している会社の事例などを確認し、その上で判断するのが得策でしょう。
例えばサイボウズの「kintone(キントーン)」は、開発の知識がなくても業務アプリを作成することができるプラットフォームです。案件管理や進捗管理、日報管理などのアプリが、ノンプログラミングで作成できます。
こういったプラットフォームを使うのもひとつの手ですし、今やっている作業ひとつひとつに対して本当にその作業が必要なのかを考え、不要な作業はなくしてしまうというのも業務効率化につながります。
大久保:なるほど。それはいえますね。それでもRPAが必要という結論になったらどうですか?
あーちゃん:よくRPAを始める前に業務の棚卸し、廃止や統合を徹底的にやってから、といいます。私も本でそう学んだのですが、 実際その手順でRPAができるのは、手順書が整っている、人材も豊富な大手で、中小はそれができる人材もいないし、手順書もない。そんなことやっていたら、一生RPAにたどり着けない、という状況です。
2年間やってみて、これが効率がいいと思った方法は、社内の「ハイパフォーマー」を探し出し、その人の単純作業をどんどんRPA化していくことです。
ハイパフォーマーに余裕がでれば自主的に、もっといい仕事に取り掛かってくれます。余裕が出た分、勉強しながら業務の棚卸しや、無駄な業務の廃止に取り組んでもらえばいいと思います。
個人としてのRPAの勉強は何をしたらいい?
大久保:個人としてRPAの勉強やスキルアップだと、どういうことをしたら良いですか?
あーちゃん:コスト最小である程度時間をかけてよいのなら、RPAツール操作書籍を購入し、掲載されている演習問題をやれば主要な操作を覚えることができると思います。その後はネット上の”ユーザーフォーラム”の過去質問を参考に上級操作を覚えていく、という方法があります。
RPAはコーディングの必要がほぼないローコードツールです。RPAの制作はあらかじめ準備されている指示ブロックを組み合わせることでできますので、Excelで簡単な関数が扱える人であれば、独学可能だと思います。Excelマクロに比べ、コーティングがほぼ不要で自動化ができる、という点が大きな魅力です。
またそもそもRPAはなにができるか?どうやって導入すればいいか?という本もたくさん出ています。RPAに関する知識を身に着けないとRPAツールベンダーとも話せません。私はベンダーになめられないように用語を覚えようと、RPA導入前にに関連書籍を5冊読み、勉強をしました。
ただ、書籍のみは我流学習といった感じで無駄がかなり多かったと思っています。特にRPAの操作はだらだら学習は向きません。短期集中がいいと思います。
技術講習は数十万するものが多く、手が出しにくいのですが、チャットサポートは月3万程度からあります。自社が必要なことをピンポイントにリアルタイムで聞くことができるサービスで、コストパフォーマンスがよいと思います。
またRPA制作はひとりでやっていると結構孤独です。私はチャットで完成したことを報告し、おめでとう!とリアクションをもらうことが大きなモチベーションになっていました。
DX化で日本をもっとよくしたい
RPAやDXで社会はよくなる?
大久保:RPAやDXツールが普及したら社会は変わっていきそうですかね?
あーちゃん:変わると信じています。
RPAやデジタル化が必要と信じてやっていましたが社内の手応えは一切なく、次第に社外へ手応えや自分の存在価値を求めるようになっていきました。
TwitterでRPAについて発信して、いいね!に励まされたり、RPAで検索して同じような思いを持っている仲間とつながることができたのは本当に嬉しかったですし、心の支えでしたね。
そんなとき、市の広報で「議会での市民提案」の公募を知り応募しました。
テーマは「スマート子育て自治体を目指した取組み」で保育士や教師の雑務をITツール活用で軽減し、子供たちにゆっくり向き合う教育を、というような提案をしました。
自分の提案の成果ではないと思いますが、昨年保育アプリの試験導入が始まりました。
また市長から激励のお手紙をいただき、これからも頑張ろうという元気をもらいました。
人材不足に悩まされている保育園などでも、保育アプリなどのITツールである程度無駄な業務を削減できる部分もあると思うんです。そういった部分は早くIT化して欲しいです。正直、このままじゃ日本ヤバいなって思います。
RPAを初めとしたローコードツールの登場で私のような事務屋でもITを使った自動化改善が出来るようになってきました。やってみて感じるのは、とても楽しい、ということ。アプリ制作やデータベース活用もやってみたいと思っています。自分のような人がどんどん増えてくれば、中小や地方でもDX化が進んでいくと信じています。
心の支えだったSNSがきっかけで転職!
大久保:最後に、読者に向けてメッセージをお願いできますか?
あーちゃん:RPAの最大の魅力はIT未経験でもやる気さえあればできるということです。プログラマーでなくてもできる。そこに夢があります。
RPAを操作することでプログラミングの基礎や、ITリテラシーが自然と身につきます。論理的な思考の勉強にもなります。
スロープのように、少しずつ積み重ねていくといつの間にか成長していけますよ。RPAスロープを使って、テクノロジーを扱える人材になっていただきたいです。
特に「AI時代が到来したら、自分の仕事はなくなるのでは?」というモヤモヤを感じている方はぜひトライしてもらいたいです。
また、そのチャレンジをSNSでぜひ発信してください。私は社内で理解されない時、Twitterが心の支えでした。
始めは「いいね!」が付かなくても、前向きに頑張り続ける投稿は次第に仲間を引き寄せます。
新しいことをやっていると面白い人と会えるんだ、というのが今のわたしの実感です。RPAがわたしの世界観を変えてくれました。
遠く離れた場所、顔を見たことがない相手でも、同じ目的を持つ仲間がいると思うだけで人は強くなれるのです。日本の未来には多くの課題がありますが、IT活用で明るい未来を、そんな気持ちで互いに励まし合い、前に進んでいけたらと思います。
Twitterからの出会いで、RPAやローコードで自動化改善する人をサポートする会社に今年転職しました。フルリモートで働いています。
自分のような昭和な会社でIT導入に挑んでいる人の助けになればと思いますし、こういうキャリアチェンジもあることを発信し続けたいと思います。
大久保:SNSがきっかけで転職につながったというのは素晴らしい話ですね。あーちゃんさんの努力が実を結んだんですね、おめでとうございます。本日は大変興味深いお話をありがとうございました。
「リモートワーク手帳(無料)」 では、リモートワーク環境で役立つツールや改善ノウハウ、使える制度などを解説しています。仕事のオンライン化に対応するために、ぜひご活用ください。
(取材協力:あーちゃん@昭和企業でRPA)
(編集:創業手帳編集部)