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2008年に株式会社リクルートへ入社。10年間、HR一筋。中途採用領域の代理店営業、営業マネージャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。2018年 中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。2019年にニットに入社し、営業・広報・人事を経験後、現在はオンラインファシリテーターとして活動中。 オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターを多数実施。
株式会社ニット ホームページ
https://knit-inc.com/
【性善説】と【信頼関係】をベースにしたマネジメント
表題の通り、テレワークでマネジメントをする際に大事なことは【性善説】と【信頼関係】です。
性善説とは、「まず最初に『仕事をしている』と信じること」です。「テレワークだからサボる」のではなく、「サボる人はテレワークでなくてもサボる」のです。テレワークだと、通勤時間などの物理的なオン・オフの切り替えが難しいので、真面目なメンバーほど働き過ぎで体調・メンタルを壊しやすい、ということが起こりえます。そのため、まずはメンバーのことを信じることが前提です。
また、信頼関係とは、「『1日、1回以上褒める』を心掛けて、上司からメンバーへ歩み寄ること」です。メンバーは上司のことを自分の想像以上に見ています。発言や行動を敏感に察知しているのです。特に今回のようなコロナウィルス感染拡大のような有事の時こそ経営者やマネージャーのスタンスが問われています。自宅で自律的な仕事を促すためには、「信頼関係を構築して、メンバーのやる気を引き出す」ということこそ、重要なポイントです。
マネジメント方法はメンバーの習熟度に合わせて
では上記の前提を理解したうえで、メンバーにはどのようにマネジメントしたら良いでしょうか。オンラインマネジメントの方法を新人とベテランに分けてご説明します。
※この場合の「新人」は新卒だけでなく、業務に着任したばかりの人を指します。
◆コミュニケーションの頻度設計
月に1回の2時間の1on1より、毎日5分の1on1の方が効果的です。
◆評価指標:結果50%プロセス50%
新人の評価システムでは通説ですが、新人であればプロセスの評価も重要です。KPI(※)の設計とプロセスをやり切っているのかという進捗管理が肝になります。
※:Key Performance Indicatorの略。目標を達成する上で、その達成度合いを計測するための定量的な指標のこと。
◆育成:アメとムチ
アメ役とムチ役はオンラインこそ重要です。特に、ネガティブな情報や叱ったりする情報をテキストで送ると、冷たい人のように感じられます。それにより、メンバーの心理的安全性がなくなり、委縮してしまうのです。そのため、アメ役とムチ役が連携をとって、叱りたい場合は、その後にすぐフォローをすることが大切です。
◆今後の採用:自律性と忍耐力
基本的に、対面で教育できない状況になるため、下記の2点を見ていく必要性があります。
①自律性:自分で自分の仕事を創っていけるか?指示待ち人間でないか?
②忍耐力:ストレス耐性があるか?もしくはストレスを解消できるか?
会社としてテレワークを本格的に導入していく場合、採用の在り方や基準も変化させる必要性も出てくるでしょう。
<ベテランへのマネジメント>
◆評価:結果100%
目標を達成したか、しないかの2択です。プロセスが良くても目標を達成していなければ「全て、未達」です。ベテラン層にはこのような思想でマネジメントしないと、テレワークのマネジメントは上手くいきません。理由は下記です。
◆「プロセスマネジメント」から「結果マネジメント」へ
パワーをかけずとも、きちんと考えて結果が出れば評価に値します。ベテラン層にマイクロマネジメントでプロセスを細かく見ていくと、結果的に、報告作業などの長時間労働につながり、ストレスに繋がりかねません。また、ベテラン層になるにつれて業務の内容や範囲も広くなってくるため、自身で業務の進め方を設計し、生産性高く結果を出すことが重要になります。
◆OKRよりMBO(※)の方が合っている
OKRだとその数字は目安で大きく越えていこう!という思想なので、目標値が曖昧になりがちです。そのため、会社やチーム、個人の全てにおいて、明確に「ここは100%でやり切ろう!」というMBOの制度の方が合っているように思います。
※OKRとは目標の設定・管理方法のひとつ。Objectives and Key Results(目標と主要な結果)の略。
「MBO」とは個人またはグループごとに設定した目標の達成度を個人で管理する方法。
◆不活性人材があぶりだされる
以前にツイッターで投稿した内容で600近くのいいねをいただいたのが、コチラです。
「仕事=会社に行くこと」という考え方だと、テレワークは厳しい環境かもしれません。自分の仕事を自分で創れる人こそ、これからの時代に重宝される人材だと思います。
チームを創る3つのコツ
管理職の皆さんは「メンバーの強みは何ですか?」と聞かれたら、すぐに答えることができますか。メンバー1人ひとりの強みを理解し、それに沿った役割分担をしながら、決めたことをやり切ることができる仕組みを作って推進できれば、結果は自然についてくると思います。
①目標設定と合意形成
②強みを活かせる役割分担
③やり切ることができる仕組み・環境作り
まずはオフ/オンラインでのやることを整理し、目標・役割分担・推進方法を策定し、コミュニケーション設計をしましょう。その結果として、コロナ禍でも実績を作ることができていたという流れになれば、そのマネジメント経験の市場価値は相当高くなると予測します。
また今後はチーム・組織・会社と、定義すること自体がナンセンスになっていくかもしれません。これからは何か一つの物事を達成しようとした時に、「働き手と社内組織」という関係だけではなく、「関わる人=チーム」という捉え方で仕事を推進していく形が増えていくと私は考えています。このように考えていくと、会社や組織の境界を越えるということは、改めて「チームでの働き方」を定義する必要があると感じています。
チームの枠を超えて、組織を創る
では働く上でのチームとはどのようなものでしょうか。前項で記載した通り、これからはチーム・組織・会社という定義がなくなり、それらの境界線がなくなっていく方向性にあると考えています。
例えば、社員が1万人いるより、使ってくれるユーザーも含めて「仲間が100万人いる」と捉える方がパワーが増大するかもしれません。それがたとえ社員10人の会社であっても、社員数に比例するのではなく、もっと大きな枠で仕事の可能性を考えていけると思います。
目線をグッと上へ引き上げ、将来、社会がよりよくなるために、何をすべきなのか?お客様とともに、何を解決するのか?その時のメンバーの役割・働き方はどのようになるのか?
これらを考えることで、「チーム」と呼べる新しい範囲が見えてくるかもしれません。もちろん、会社を運営していく以上は、会社のトップや管理職の人々は社内の働き手の幸せを追求することが最も大事だと思いますし、それ以外の人をチームに含めるときには、新たに考えることも必要でしょう。
テレワークはそのマネジメントをする上での手段のひとつに過ぎません。
しかし、これらのマネジメントがうまくできていれば、一人ひとりの働き方が良い方向に進み、組織活性化につながるのではと考えています。
今回の記事が皆様にとって少しでも何かヒントになれば幸いです。
読んでいただき、ありがとうございました!
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