リモートワークに役立つプロマネとは?プロジェクト工学の先駆者に聞く、予定通り進まないプロジェクトの進め方

2020年から猛威を奮っている新型コロナウイルスにより、世界だけでなく日本でも徐々にリモートワークに移行している企業が増えつつあります。

これまでの働き方や環境が大きく変化したことで、今までと同じような方法でプロジェクトを進めることが困難になってきています。予定通りにプロジェクトが進まず、従業員のモチベーションが下がってしまうケースも見られるようです。

そこで今回は、「プロマネ」という新事業を開拓した株式会社ゴトーラボ 代表取締役 後藤洋平さんに取材をして、リモートワークに役立つプロマネについて伺いました。

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事業承継手帳
(2021/03/17更新)

 

後藤洋平(ごとう ようへい)/ 株式会社ゴトーラボ代表取締役
1982年生まれ、大阪府出身。東京大学工学部 卒業後、(株)インクスでメーカー向け高速試作サービスの技術営業、(株)フューチャー・デザイン・ラボで新規事業開発責任者、ポーターズ(株)でカスタマーサクセス責任者などを務めた。リリース直後でクレームが頻発していたHRビジネス向けSaaSの導入コンサルティング機能を立ち上げ、国内シェアNo.1サービスにグロースさせる原動力となった。 2019年5月に株式会社ゴトーラボを設立。著書に「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」など。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。

リモートワークに必要なプロマネとは何か

ーまず、プロマネ(プロジェクトマネジメント)とは、どのような仕事でしょうか。また、AIで自動化される可能性はありますか?

後藤氏:プロジェクトマネジメントは、企業や組織運営におけるプロジェクトを成功させるために、なくてはならない仕事です。そもそも「プロジェクトを始めたい」と思う動機は機械ならぬ人間が持つもので、成功か失敗かを決めるのも人間なので、AIで自動化されるのは一番最後だと思います。

ー起業家もプロマネの素養は必要でしょうか。

後藤氏:起業家にとってプロマネのスキルは必要なのかという視点から考えると、プロマネのスキルが必要ない人と、そうでない人で二分化されると考えています。

ビジネスチャンスを見つけてそこにチャレンジできて、お金の流れを作れる起業家であれば、自然とプロマネのスキルがある人材が集まってきます。逆に、クライアントワークを中心とする、業務遂行能力の高さで勝負する起業家にはプロマネスキルは必須だと言えるでしょう。

リモートワークに最適なプロマネツール「プ譜」とは

ー「プ譜」というプロマネツールについて教えてください。

後藤氏:「プ譜」とは、プロジェクトの進め方を誰でも簡単に表現するための可視化フレームワークです。
「プ譜」自体は、紙とペンさえあれば書けるものですが、2021年1月に弊社がリリースした「キックプ譜」というツールをご利用いただけば、ウェブ上で簡単に作成でき、チームのメンバーとの共有や進捗管理にも便利です。

実際のユースケースとしては、5~8人ぐらいの、本当に重要な意思決定をする人がすばやく必要十分な意思疎通を行うのに主眼を置いたツールです。
このツールで管理するプロジェクトの規模感としては、極論、100人でも1000人でも、十分使用に耐えると思っています。

ープ譜の発想の原点は? また、どうしてプ譜を作ろうと思ったのですか?

後藤氏:プロジェクトは通常、「計画通りに回すもの」というイメージがありますが、実際はそんなことは滅多にありません。それはチームの資質や努力のせいではなく、「そもそも思い通りにならないようにできているのが、プロジェクトなのだ」と考えたのが、きっかけです。そのアイデアのヒントとしては、将棋の羽生さんの言葉やクラウゼヴィッツの軍事理論などがありました。彼らの言葉には、意外なほど、「勝つための方法」は語られていないのです。むしろ、「自力では勝てない」「相手のミスに助けられないと勝てない」というような、物事は思い通りには行かないという考えが前提にあります。だとするならば、それを前提として、物事を「前進」させるツールが必要なのではないかと考えて、考案しました。

ーAsana(アサナ)と比較すると、プ譜は人間に近い感じがしますよね。

後藤氏:そうですね。一般的なプロジェクト管理ツールは、人間を歯車や機械のように捉えている感じがあります。人間は「歯車にされたくない」と思うので、そのような世界観だと、どうしてもモチベーションが上がらなかったりすることもあります。プ譜は発想を逆にしていて、人間中心で発想できる仕組みになっています。

ープロジェクト管理において、よくある失敗パターンとそれに対する対策を教えてください。

後藤氏:ほとんどのプロジェクトは炎上して停滞するかなくなるかなのですが、目標設定が間違っているので失敗してしまうんですよね。

「この成果物を作ればうまくいく」と思って始めるのですが、2手か3手ぐらい進めた時点で失敗だということに気がつくのが通常です。そこで軌道修正ができなければ、間違いなく失敗してしまう。

大きな企業同士の契約だと、すでに決まっている契約内容やお金、組織などの論理が原因で軌道修正が難しくなってくるのです。

大きなプロジェクトほど軌道修正までに時間がかかるので、失敗するまで突き進むか、プロマネが走り回ってどうにか落としどころを見つけて着地させるか、だいたいどちらかになります。

ーわかりやすく言うと、新幹線で札幌に行きたいのに博多まで走り始めてしまい途中下車できないといった感じでしょうか。

後藤氏:そうですね。世の中、本当に、そんなプロジェクトばかりです。

ープ譜の構成要素のひとつにある廟算(びょうさん)8要素とは、孫子の言葉が起源ですか?

後藤氏:はい。孫子は「五事七計」と言っているのですが、現代のプロジェクトには過不足があるため、調整し、8要素にしました。

ーなるほど。この廟算(びょうさん)8要素が構成されているということは、プ譜には人間に近い判断要素が組み込まれているので、間違った方向に走っても軌道修正しやすいということですよね。

後藤氏:そうですね。プロジェクトは予想を超える外部要因に影響を受けてしまう。いわゆる未知の要素があるんです。例えば、一緒に働いている人のすべてを知っているかというと、そうではないですよね。

起業した人があるビジネスモデルを作りたいと思った時に、そのビジネスモデルについて熟知してるのかしてないのか、もしくは同じビジネスで成功している人はいるのかなど、未知の要素が多ければ多いほど、そのプロジェクトは危ないですよね。

逆にすべての要素を熟知している場合は、そのビジネスはルーチンワークになるわけで、当たり前のように成功する。

どれくらい未知の要素があるのかを考えるのが、プ譜の8つの要素の本質になります。

ー人間って感じ方が人それぞれなので、同じ言葉でも誤差や定義のズレが出てしまうことがありますよね。

後藤氏:そうですね。例えば、「博多に行きたい」と言った時に、ただ遠くに行きたいのか、もしくは南に行きたいのか、天神のラーメンが食べたいのかで様々な捉え方がありますよね。

または、天神のラーメンでなくても、近場の美味しいラーメン屋で片付く場合もありますよね。いやそもそも食べたいのは、ラーメンじゃなくて、カレーライスかもしれない。そもそもなんでラーメンなのか。食べてどうなりたいのか。そういった言葉の認識を合わせていくのが、プ譜というツールです。

ー新幹線で博多に行く途中に危険だと感じたら、飛行機に変えることができるということですよね。

後藤氏:そうですね。本当にやりたいことが明確であれば、それを満たすための条件や方法は必ず見つかるはずです。ただ目的地が決まっているからといって、考えなしにそこに突き進もうとすると、必ず失敗します。

ープロマネは、未知の要素が多いプロジェクトをどのようにマネジメントしていくのかという仕事なので、不確定な要素をいかに減らすかがカギですよね。既知の範囲を広げて打率を上げて行くようなものでしょうか。

後藤氏:おっしゃる通りです。それこそが、プロマネにおける、最も大事な要素です。最初から大成功を目指して空振りするのではなく、小さなミスと小さな得点を重ねて、未知を既知に変換し、最後に勝つ。

ーキックプ譜のサイトや著書でもプロジェクトチームについて触れていますが、チームを構成する上で一番大事なことは何でしょうか?

後藤氏:色々なプロジェクトの支援に携わっているのですが、皆さん本当に「こんなに基本的なことで!?」と驚くような言葉のズレがあるんです。

例えば、「ブロックチェーンを使った新しいセキュリティサービスを売り出したい」というプロジェクトがあったとして、その機能や部品の名前が独り歩きしてしまって、肝心な中身に関して認識のズレが生じていることもあるのです。

そのズレに気がつくということが、チームを構成する上で一番大切な要素になりますね。プ譜のワークショップを通して、そのズレに気づいていくことが多いです。

リモートワークだからこそ重要なプロマネ

ープ譜などのプロマネはIT業界に限らず、環境の変化が目まぐるしい世の中なので取り入れたほうが良いですよね。

後藤氏:そうですね。

コロナ禍になってからプ譜を活用したプロジェクト進行改善についての問い合わせを多くいただくようになりました。

リモートという状態で、プロジェクトを進める方法がわからなくて困っている方が多いようで、様々なきっかけでプ譜に興味を持っていただいています。

ーリモートワークになると、プ譜などのプロマネは重要になってきますか?

後藤氏:プロジェクトを成功させるために、何をすべきかなどの優先順位や、何を判断してどこに力を入れるかなど、全員の理解を一致させる必要があります。

プ譜を取り入れると、相手が何を考えて行動しているかが“見える化”されるので業務を進めやすくなります。

リモートワークになると今までのやり方が通用しなくなり、お互いの認識にズレが生じることもあるので、リモートワークに慣れていない方はこういったツールを導入したほうが良いですね。

ーリモートワークにおいて、モチベーションを維持するためにもプロマネが必要ですよね。

後藤氏:その通りですね。リモートになると顔を見て仕事をするわけではないので、目標を見失ってしまったり、社員同士の心の距離が離れてしまったりすることもあります。

何のために今の仕事をしているのかを言語化してくれるのがプ譜なので、このようなツールを取り入れることは大事ですね。

ー最後に、リモートワークを導入する方たちにメッセージをお願いします。

後藤氏:初めてリモートワークを導入する場合は何かと不安があると思いますが、ツールありきで考えると使いこなせなくなるので、まずは根本的に解決すべき問題点を分析していくことが必要になります。

あとは、チーム同士の心の距離が離れてしまわないように、うまくプロマネを取り入れて意識を一致させ、一緒に目的に向かって行動するようにしましょう。

ー本日はありがとうございました。

まとめ

コロナ禍で大企業から中小企業まで、数多くの会社でリモートワークが導入されてきていますが、今までとは働き方も環境も大きく変化したため、プロジェクトがなかなか進まなかったり従業員の間に溝が生まれてしまったりと、あらゆる課題が出てきています。

このようなリモートワークにありがちな課題と不安を解決するのが、プ譜などのプロマネツールです。

機械的な判断ではなく、より人間の感覚に近い判断要素が組み込まれているので、リモート環境でもチームが一体となって認識のズレを解消しながら目標達成を目指すことができます。

「コロナ禍になりプロジェクトがなかなか進まない」「社員のモチベーションが下がってしまった」と感じている方は、プロマネツール「キックプ譜」を導入して快適なリモートワークを目指してみてはいかがでしょうか。

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事業承継手帳

 (取材協力:株式会社ゴトーラボ/後藤洋平

(編集:創業手帳編集部)