自作の動画で自社広告を作る方法とは?動画撮影・配信のために準備すべき機材や作成手順についてITツールマスターが徹底解説

今や動画は業界・業種にかかわらず、多くの事業の中で使われています。営業用の映像や、ノウハウの紹介映像、人材採用に向けた映像など目的もさまざまです。
スマホで作成できるのは知っているけど、編集は?画質は?配信方法は?ファイル形式は?コストは?などなど、ノウハウがなく必要なものもわからないという企業も多いのではないでしょうか。
少し前と比べて動画撮影・公開のハードルは下がっていますので、やろうと思えばすぐにでも導入が可能です。
本記事では、動画撮影・配信のためのポイントについて解説します。

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動画を利用する目的は?どのような役割を果たす?

企業で動画を利用する場合、どのような効果を期待するのか、その目的をはっきりとさせておくことが大切です。コンセプトをはっきりさせることで動画の内容は大きく変わります。

動画にはどのような利用方法があるのか、主な5つの用途について紹介します。

製品・サービス紹介

製品やサービスの紹介は最も一般的な利用方法です。動画を通して、生産者や販売者が自分の視点で製品やサービスのメリットやこだわりを伝えることで、ターゲット層に響く宣伝活動ができます。

自社ブランディング

自社の紹介や、企業としてのノウハウ・実績などを映像にまとめることで自社のブランディングに活用できます。広告用に作成した映像や、メディアで紹介された映像を記録として公開可能な形で残しておく企業も多いです。

人材採用

人材採用のために、企業情報や求人内容をまとめた映像や、社員の様子やインタビューなどをまとめた映像を作成し、人材採用に活かしている企業もあります。文字や写真だけではなかなか伝わりにくい情報も動画にすることで実感がわくように作成できます。

マニュアル・議事録

一連の工程を伝えるためのマニュアルに動画は非常に重宝します。文字にするとわかりにくい場合でも、実際の様子を映像で見ることで理解しやすくなります。会議の映像を録画して、議事録代わりにすることも可能です。

社内行事の保存用

社内行事の映像を撮影し、記録用として動画として保存することも多いです。ダイジェスト版を作成して社内で共有したり、節目のタイミングで視聴して士気向上につなげたりできます。

動画撮影に必要なアイテムと配信に必要な準備

動画の撮影・公開はスマートフォンが1台あれば可能です。しかし、企業で公式的な動画を作るのであれば少し気を遣った方がいい部分も多いです。

動画撮影に最低限必要なアイテムからあったほうがいいおすすめアイテムを具体的な予算と合わせて紹介します。

また、作成した動画を配信するための準備や作業方法を必要なツール紹介と合わせて詳しく見ていきます。

ビデオカメラ

ビデオカメラは、Webにアップする動画であれば一般的なデジタルビデオカメラでも十分な画質を出すことができます。DVDやBD用の映像や、TVCMやデジタルサイネージ用に高画質な映像を必要とする場合には、プロ仕様のビデオカメラがあった方がきれいに映ります。用途によってはスマホのカメラでも十分です。

よほど慣れた方でない限り、撮影時はできるだけ三脚を利用した方が無難です。三脚も足の長さがさまざまなので、用途に応じて選ぶようにしましょう。

<予算の目安>
ビデオカメラ:0円~150万円(多くは3~10万円で十分)

照明・レフ板

ビデオ会議が行われるようになり、画面映りを良くするためのリングライトが多く販売されるようになりました。画面映りを良くするためにこうした照明設備は欠かせません。

以前、チャンネル登録者数10万人を超える料理系Youtuberの自宅兼スタジオを見せていただいたことがありますが、40㎡ほどの空間に照明2台、大きなレフ板が3枚置かれていました。良い画面が撮れるよう、こだわりを持って撮影していることが設備からもわかります。

必須ではありませんが、照明があると逆光や天候、室内の照明設備などの影響が少なくできるため、撮影の自由度が格段に向上します。「撮影用ライト」「撮影用 照明」などのキーワードで検索するとさまざまなものが見つかるでしょう。

「レフ板」は写真撮影などでよく利用される、光を反射させるための白い板です。強すぎる光を和らげて反射させるものなど種類もさまざまです。
照明・レフ板などはサイズや重量を考えて選ぶことが大切です。特に野外で撮影する場合は持ち運びや電源を意識して選ぶ必要があります。

<予算の目安>
照明:1万円~20万円
レフ板:数百円~数千円

音響機材

ビデオカメラでは音声も録ることができますが、外部の雑音なども拾ってしまうため、余計な音を入れたくない場合はマイクを使う必要があります。マイクは質の良いものほど音質も良く、マイクに向けて発せられている声(音)をよく拾ってくれますので、予算の範囲内で良いものを選びましょう。

また、パソコンやさまざまな音源から出力した音をライブで入れたい場合はミキサーも必要です。ミキサーは入出力可能なチャンネル数や処理能力で予算も変わってきます。また、各機器をつなぐためのケーブルの費用も必要です。ケーブル代は意外とかかるので、予算を組む際には忘れないよう注意しましょう。

<予算の目安>
マイク:1万円~
ミキサー:8000円~5万円
ケーブル:2000円~

撮影用スタジオ

社内で撮影をする場合、以外と困るのが撮影場所です。他の社員の邪魔にならず、余計なものが映らず、静かで、といった条件を満たす場所を社内に求めるのは難しいかもしれません。

動画作成に力を入れるのであれば、撮影用の部屋をひとつ準備しておくことをおすすめします。機材の運搬や保管も楽になりますし、背景にグリーンバックやブルーバックの撮影布があるとクロマキー撮影(※)もできて便利です。

※クロマキー撮影:人と背景を合成して映像を作る撮影方法

<予算の目安>
スタジオ:物件、オフィス状況による
撮影布:2000円~(サイズによる)

編集ソフト

撮影した映像を編集するためのソフトは、よりよい映像作成のために必要不可欠です。今は無料で使えるソフトも多くなっており、有名なYoutuberでもi-Movieなどを利用してスマートフォンだけで映像を編集していることもあります。無料サービスでも高機能なものが増えていますが、ウォーターマーク(透かし)が残ることも多いため企業が使うにはあまりよくありません。

長時間の映像の編集や、効率的な作業、質の高い映像編集を目指すなら、有料の編集ソフトを利用した方がよいでしょう。映像編集ソフトは高価なイメージがありますが、Adobe Premiereのようにサブスクリプション(月額・年間課金)方式で利用できるサービスが増えており、以前ほど費用負担は大きくありません。

<予算の目安>
編集ソフト(購入):3000円~10万円
編集ソフト(サブスクリプション):1000円~10000円/月

動画配信サービスor動画配信サーバー

映像を撮影して動画ファイルにし、それをサーバーにアップロードしたとしてもストリーミング再生はできず、ダウンロードができるだけです。動画ファイルを配布しても良い場合はそれでも構いませんが、データ量も大きくなりますし、情報保護の観点からも動画ファイルが自由にダウンロードできる状況は好ましくありません。

ストリーミング再生を行うには、サーバー側に専用のソフトが必要です。設定や保守に専門知識が必要になる上、ネットワークも含めて数十万円以上のコスト負担が発生しますので、動画配信がメイン事業でない限りは外部サービスの利用をおすすめします。

YouTubeやVimeoなどの動画配信サービスを利用し、必要に応じて有料サービスも検討するとよいでしょう。

<予算の目安>
さまざま

ライブ配信エンコーダ

セミナーや社内行事などをライブ配信したい場合は、専用のエンコーダがあると便利です。動画配信サービスの中にはライブ配信ができるものもありますが、都度さまざまな設定を行う必要があります。

ライブ配信エンコーダは、撮影した映像を送受信可能な形に変換(=エンコード)し、動画の配信先に届けてくれる専用ツールです。ライブ配信エンコーダを利用することで、複数のプラットフォームに対して同時に配信を行ったり、配信用の設定を自動化することができます。

ライブ配信エンコーダには、パソコン上のソフトとしてエンコード処理を行うもの(ソフトウェアエンコーダ)と、エンコード専用機器(ハードウェアエンコーダ)があります。ソフトウェアエンコーダは安価で利用しやすいですが、作業を行うパソコンに大きく負荷がかかるのが欠点です。

パソコンのスペック次第で配信が不安定になることも多く、野外では使いにくい点に注意しましょう。頻繁にライブ配信を行うなら、少し高価ですがハードウェアエンコーダがおすすめです。

<予算の目安>
ソフトウェアエンコーダ:無料~3万円
ハードウェアエンコーダ:1万円~10万円

動画撮影スタート!実際の必要手順とは

動画を撮影する際の手順について、ポイントと合わせて簡単に紹介します。

撮影内容・スケジュールの決定

動画を作る場合には事前に動画コンテンツを決定し、必要な絵(画面)を決めておくことが大切です。撮りたい絵を絵コンテなどで事前に決めておくと、イメージも共有しやすく撮影のやり直しが減ります。撮影のスケジュールはよく検討して人員や撮影する素材を準備しておきましょう。

撮影

撮影の時間は多めにとっておいて、予定を決めて進めていきます。天気などの影響を受ける場面の撮影は、タイミング優先で撮影しましょう。ライブ配信を行う場合は、事前に音響や画面映りのテストなどのリハーサルを必ず行ってください。

編集

映像編集の場合も絵コンテがあると演出内容がわかりやすくなるのでおすすめです。動画の場合、倍速で再生することも可能ですが聞き逃しも増えるため、大事な部分だけでも字幕を入れておくと親切です。

アップロード・配信

映像の編集ができたら、動画配信用のサービスやサーバーにファイルをアップロードして公開設定を行えば配信できる状態になります。動画をWebサイトに埋め込んだり、動画ページのリンクを発信したりして、視聴者に動画の存在を知らせましょう。

動画作成・配信でよくある質問・注意事項

動画を作成・配信するにあたり、よくある質問や注意点について解説します。

動画のファイル形式・画質はどうしたらいい?

動画のファイル形式はさまざまですが、現在はさまざまなプラットフォームで再生できるmp4形式が主流です。wmvやmovなどの形式も利用されていますが、再生のための環境を選ぶため、広く公開するのであればmp4を利用するのが無難です。

画質については、2021年時点では「1080p:1920×1080(フルHD)」であれば、一般的な動画として問題ありません。通信環境や視聴端末によっては、もっと低画質でも大丈夫です。観光地の案内や大画面への投影など、画質が求められるような場合はより高い画質でアップするとよいでしょう。

高い画質でアップロードした場合でも、再生環境に合わせてスムーズに視聴できる画質に調整してくれるプラットフォームもあります。

ストリーミングと疑似ストリーミングの違いは?

疑似ストリーミング(プログレッシブダウンロード)とは、端末内にデータをダウンロードしながら、ダウンロード済みの映像を視聴できる方法です。ストリーミングと違い、設備にコストがかからないものの、受信側の端末にデータが残るため動画データを取得されやすくなります。

疑似ストリーミングは「再生中の位置とダウンロード済みの位置がシークバーに表示される」「再生直後はシークバーで好きな位置に移動できない」などの特徴から見分けることが可能です。

ビジネスユースではストリーミングができるプラットフォームを利用した方が安全です。もちろん、一般的に公開しても問題ないコンテンツの場合はこの限りではありません。

コンテンツ保護をしたい場合はどうしたらいい?

コンテンツ保護をしたい場合は、映像内にウォーターマークを入れたり、DRM(デジタル著作権管理)ツールを利用したりします。必要に応じ、著作権に関する注意書きを動画内や動画ページ内に表示しておくとよいでしょう。

社内のみで利用したい場合はどうしたらいい?

社内のみ、あるいは限られた範囲内で動画を共有したい場合は、ビジネス用の動画配信プラットフォーム(有料)を利用するか、あるいはYouTubeなどの動画配信プラットフォームで共有設定を行います。

共有設定では、パスワードをかける方法や、動画URLを公開しない(検索もできない)ようにすることが可能です。この場合、必要な人にのみURLやパスワードを知らせるようにします。

公開したファイルは変更できないの?

無料の動画配信プラットフォームでは、公開後のファイル変更ができない場合がほとんどです。たとえばYouTubeでは、公開した後にファイルを変更すると動画ページのURLも変わってしまい、別動画として扱われます。有料のプラットフォームの中には、アップロード後の動画ファイルの差し替えが可能なものもあります。

動画で広告収入を得るにはどうしたらいい?

動画で広告収入を得る方法はプラットフォームによって異なります。ビジネス用の動画では、広告が自社で伝えたい情報の妨げになることがあるので、広告が入らないようにすることが多いです。

まとめ:動画作成・公開はやってみれば意外とできるので挑戦してみよう

動画の作成や公開を敷居が高いものと思う方も多いですが、今ではさまざまな機材やサービスが揃っているため、思ったよりも簡単に始めることができます。

質を求めれば予算もキリがありませんが、用途や運用によっては数万円~数十万円の予算だとしても、高品質の動画を作成・配信することができます。

「1分間の動画が伝える情報量は180万語分、Webページ3,600ページ分」と言われています。言葉だけでは伝えにくい情報がある場合は、ぜひ動画の活用も検討してみてください。

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