「Google 最高位パートナー」と呼ばれる経営者に聞く、次世代のITの重要性
イーディーエル株式会社代表取締役・平塚知真子さんは教育学の専門家、主婦、教育会社の起業家という3つの顔を持ちます。
さらに平塚知真子代表は、国内でも唯一の「Google 認定トレーナー(※1)」及び「Google Cloud Partner Specialization Education(※2)」の2つを保有する女性トレーナー兼経営者です。
※1 Google 認定トレーナー:Google の活用方法を教師に教え、教師が知識を応用できているかサポートを行う認定資格
※2 Google Cloud Partner Specialization Education:能力開発を専門的な解決方法で提案でき、サービスの分野で技術的な知識・経験・実績を持つスペシャリストを指す証明
今回は Google も認めるスペシャリスト「イーディーエル株式会社代表取締役・平塚知真子さん」に、リモートワークでのIT活用の重要性やデジタル断捨離についてうかがいました。
起業家に役立つ情報をお届けする「創業手帳」から、テレワークに課題を感じている経営者や決裁者のためのガイドブック 「リモートワーク手帳(無料)」 が創刊されました!リモートワーク環境で起こりうる課題を解決に導いてくれる情報を無料でご確認いただけます。あわせてご活用ください。
(2021/03/04更新)
Contents
「Google 認定トレーナー」及び「Google Cloud Partner Specialization Education」の2つを保有する国内唯一の女性トレーナー経営者。数時間でITスキルを劇的に引き上げる指導に定評があり、「Google 最高位パートナー」と呼ばれ、ITビギナーから絶大な信頼を得ている。早稲田大学第一文学部(教育学専修)卒。筑波大学大学院教育研究科修了(教育学修士)。筑波大学大学院非常勤講師(2020年)。Amazonクラウド入門書カテゴリ ベストセラー 第1位「Google 式10Xリモート仕事術」Amazon通信・メール・入門書カテゴリ ベストセラー 第1位「今すぐ使える!Google for Education」
創業手帳 株式会社 代表取締役大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計100万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。
IT・クラウドに関する知識の格差とリモートワーク
平塚:おっしゃる通り、知識の格差が起きている状態ですね。
私自身、もともとは文系で教育学が専門でした。
ITやクラウドに関する知識の格差が生まれているのは「失敗を恐れている人が多い」という点が原因だと思います。
人は失敗を経験して学んでいくものですが、失敗を恐れるあまり行動に移せず、リモートワークなどに必要な知識を身に付けられていない人が多いです。
特に最近では YouTube や Google などで検索をすると何でも学べる時代になっており、すぐにわかるという利便性からすでに知っている気になってしまって、知識欲が低下している傾向があります。
今の時代に必要なのは「いかにITやクラウドの本質的な利点を学ぶか」ということです。
リモートワークでも仕事が十分にできるように、少しずつでも良いので知識を自分の問題解決に向けてカスタマイズできるように促し、実践する環境作りを行うことが会社の生産性につながると思います。
平塚:リモートワークを行うにも現状ITを使っている人、まだ十分に使えていない人の格差が大きいため、まずは社内でもITに詳しい「10Xリーダー」を作ることをオススメしています。社員が20名程度であればその中の2名でも大丈夫です。
社内でITに詳しい人物、ITをどう活用すると問題解決できるのかアイデアを出せる人物を10倍の成果が出せる「10Xリーダー」として任命し、育成することで、多くの問題がスピーディに解決していきます。社内の人なら、職場で今起きている問題や悩みの原因をよく理解しているので、ITを活用して一つひとつ問題解決していく良い循環を作ることができます。
ふだんITに慣れていない人は、ITが得意な方にとっては常識となっているような用語の意味をきちんとわかっていないことが多いため、会話がうまくつながらないケースが散見されます。つまり、IT用語が社内で「共通の言語化」されていないんです。
そこへいきなり、ITの専門家がやってきて集中してあれこれ指導しても、うまくいきません。最初のきっかけや、なぜITを活用することが全員にとってメリットがあるのか、スタートを加速化する研修は必要ですが、社内に10Xリーダーを育成することがとても重要です。
社内で全員が同じアプリやツールを使って、社内のリーダーが日々教えてくれる環境があればいつの間にか、現場からDXが実現していきます。
専門家を呼んでトレーニングをすると時間やお金がかかりますが、10Xリーダーが育成できてしまえば、あとは社内で隣の人が教えられるような環境作りができていきます。すると、社内でも生産性劇的向上させるようなIT知識や現場で生まれたノウハウを広げていくことができます。
ITスキルを習得するには一定の経験と時間が必要です。しかし、弊社では3ヶ月もあれば、軌道に乗っていくことがわかっています。
社内の10Xリーダー、そして専門家をうまくミックスさせ、定例でIT活用について実践したことを披露し合う場を設けるのが好ましいです。私たちはこれを「ワイワイガヤガヤ会議」と呼んでいます。
そのほうが、自分から率先してITに関する知識を覚えようという意識が働くため最速最短で覚えやすく、現場からデジタル化が進むのでリモートワークも行いやすいです。
いきなり覚えなさいと言っても難しいので、今日できることを一歩ずつ、楽しく進めていくとITに関する知識をぐっと吸収しやすくなります。
デジタル断捨離で生産性向上
平塚:月に1回のペースでデジタル断捨離を取り入れていますが、その際には温泉に行っていますね。温泉がもともと好きなのもありますが、温泉地に足を運ぶことによって大自然のパワーをもらえるわけです。
人間はアナログな存在なのでデジタルだけでは生きていけません。今は時代の流れでリモートワークで成果を出すことが要求されていますが、生活のすべてをデジタルにするのは無理ですよね。
コミュニケーションを大切にしているので、温泉に行く日だけでなく人と会って話をする時や食事の場面でもスマホの電源を切るようにしています。
デジタル断捨離をするなら、できるだけWi-Fiが飛んでいない場所がおすすめです。スマホやパソコンが使えないような環境に身を置くことで、デジタルから解放されて気持ちをリフレッシュさせることができます。
平塚:おっしゃる通り、いきなり丸一日スマホやパソコンを見ないとなると不安になってしまうと思います。
まずは「今日は午前中だけ切っておこう」「午後からは見ないようにしよう」と区切りをつけてみてください。
「誰のためにデジタル断捨離をしているのか」「何を目的にデジタル断捨離を行っているのか」ということを意識していれば大丈夫です。
「土曜日はスマホやテレビを見ない」と決めたとして、毎週その通りに行動するのももちろん良いですし、状況に合わせてデジタル断捨離をしない日を設けても良いと思います。要はリフレッシュできた!と自分が嬉しい気持ちになることが大事なんです。
リモートワークになると1日中デジタル媒体に触れるような状態になりますが、デジタル断捨離を行うことで「デジタル疲れ」から解放されます。
ITを使いこなせない企業は生き残れない
平塚:確かに今はIT・クラウドツールを使いこなせない会社は生き残れないと思います。
昔は、世の中の景気が良くなれば会社の経営状況も良くなるというV字回復型でした。時代が変わった今はK字型のようになっており、上に行くか下に行くかのどちらかです。
IT・クラウドを効果的に活用できれば、10倍100倍の生産性劇的向上が本当に可能です。
そのため、IT・クラウドの知識を学ぶことは必須ではないでしょうか。
学ばなければ時代の移り変わりについていけず、自然と下火になって生き残れない可能性があります。
しかし、日本では新しいことを学ぶに懐疑的な人が多いというのが現状です。
平塚:そうですね。日本は海外と比べて優しい国でもあります。恵まれているが故に、状況の変化についていけない人が多い傾向があります。
今回ライトユーザーに向けた本を書いてみて、周りの状況がよくわかりました。そろそろ始めないといけないかなと気づきつつも、これまで使わなくてもなんとかなっていたので、必要性を実感できていない人が多いですよね。リモートワークなどの導入やIT・クラウドツールの活用が、企業として生き残るための必須項目になっているので、本当に危機感を覚えました。
Google はITやクラウドツールの中でも特に初心者に優しく、入りやすいツールでもあるため、使って、少しずつでも良いので学んでいただけたらと考えています。
平塚:リモートワーク中はパソコンの画面からしか視覚情報が得られないため、普段よりも圧倒的に情報が少ない状況に陥ってしまいがちです。そうなるとそれを補うために問い合わせが増え、本質的な仕事が圧迫されてしまいがちになります。そんなときこそリアルタイムに最新情報を共有できる手間のかからないクラウドを上手に使うのをおすすめします。
ただ操作を覚えようとするのではなく、ITを道具と考え、どの場面でどう使うともっと仕事しやすくなるか、意識して試していくのが好ましいです。
リモートワークだからといって生産性が下がるということはありません。クラウドで必要な情報を共有するというように発想を変えて、クリックを1つでも減らす工夫をコツコツと積み重ねていくと成果が出やすくなると思います。
日本でもリモートワークの働き方を導入している企業が増えていますが、ITを上手に活用していくためにはコツコツと行動することが大切だとわかるインタビューではないでしょうか。
知識をカスタマイズしていくことで生活や仕事をより充実したものにできるので、まずは今日できる一歩を探して行動していきましょう。
「リモートワーク手帳(無料)」 では、リモートワーク環境で取り入れたい制度や便利なツール、改善に役立つノウハウを徹底解説しています。仕事のオンライン化に対応するために、ぜひご活用ください。
(取材協力:イーディーエル株式会社/平塚知真子)
(編集:創業手帳編集部)